宮藤官九郎

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【 2008年02月02日放送】【116回】パート2

今日のゲストは、脚本家として活躍の宮藤官九郎さん。

パート1からの続きです♪

[脚本の発想]
美輪「でも長瀬君の出ていた落語のドラマ「タイガー&ドラゴン。」の転換の仕方とか、
ポーンと飛んでみたりとかあれは宮藤さんの中で計算し尽くしてやっている部分と、
ものすごい勘でふとひらめいてやっているのと、両方が交錯しているような感じが するんですけれどね。」
宮藤「そうですね。調子がよい時とかは、勘も冴えているし、計算もよくできる。
ただ、どんよりした気持ちの時とか、場所によっては全く集中できなかったりもするので。」
国分「それは部屋だったり…。」
宮藤「後は状況ですかね。僕はあまり集中して同じ場所で仕事ができないんですよ。」
国分「家で書くとかそういうわけではないんですか?」
宮藤「違いますね。喫茶店、マンガ喫茶とか、入れ替わりが激しいところで 書いていることが多いですね。
自分の部屋で『ものすごく仕事がはかどるな』と思ったことはないですね。 何ででしょうね?」
国分「これは何かあるんですか?書けない理由とか…。」
江原「あります。今からもう話しちゃいます?」
国分「ちょっとじゃあ、後に取っておきましょうか。」

タイガー&ドラゴン「三枚起請の回。」

~いつも長瀬さんを驚かせる宮藤さんのアイディア。
『タイガー&ドラゴン』で演じたのは落語家に弟子入りしたヤクザ~

~映画『ゼブラーマン』では…コスプレ好きの中年教師
哀川翔さんがスーパーヒーローに変身しました~

哀川翔さんのコメント
「もう倒れましたね、おかしくて。あんな脚本で笑えるのも久しぶりでね。
何かすさまじい才能だなと思いましたね。」

~金曜ナイトドラマ『未来講師めぐる』では深田恭子さんが… 満腹になると人の未来が見えてしまうという塾の先生に~

深田恭子さんのコメント
「1話でカステラを、丸ごとこう1本食べるんですけど。カステラの1本丸ごと食べるってみんなほんとはやってみたい事なんじゃないかな、って。
絶対にやっちゃいけない事だけど。それを出来た事とかが貴重な経験だなと思いました~

[人気ドラマの発想]
国分「発想はどういうところから生まれて来るんですか?」
宮藤「どういうところですかね。
ゼロの状態から第一歩を踏み出す時は完全に勘に頼っていますね。
『タイガー&ドラゴン』という落語のやつも 『長瀬君が高座に上がって、
しかも話が全然おもしろくない』っていうのがおもしろいなと思って…。」
美輪「その発想自体が計算なの。逆転の発想だから。

『まさかこの人がこういうことはしないだろう』というものの積み重ねだから。
意外性のどんでん返しなの。それは計算ですよ。
子供のようなところがおありになるから、子供のいろんな妄想とか空想とかを持っていながら、今の計算がピュッと結びついてしまうんですよね。」
宮藤「ちょっとわかる気がしますね…。」

[魂のテーマは型]
江原「全然、違うことを言ってもいいですか?
トイレにフッと入っていっちゃうところが見えるんですよね。
ちょっと奇妙で、さほどもよおしていないのに入られたり、
意味のわからない行動を取られる。
宮藤さんの魂のテーマは、全て『型』なんですよ。
『型があるかないか』これが全部のポイントなんです。
オーラの部分でもすごく繊細さが現れていて、あんなに楽しいことをなさったりする方なのにブルーなんです。
だから常に冷静で、自分のことをいつも『自分はこういうやつで、ああで…』って すごくみて、ものすごく繊細で神経質。
人と会うにもどこの空間にいるにも全然落ち着かない。
落ち着かないとトイレとか自分だけの空間に入ってため息をつく。
人と接しているのは楽しいけれども、ものすごく疲れる。
その連続の中で、時々頭の中がハレーションを起こす、みたいなね。
時々生活の中で『あ~』って変な声を上げているのが聞こえるんですね。」
宮藤「びっくりしました、よくやってます。」

江原「密室の中で『あ~』とか、捨てゼリフとか、自分で何か吐き出したいことを そこで吐き出して
『王様の耳はロバの耳』みたいなもので それで違う自分を演じてみたり…。
まず自分で自分のことを脚本家として『自分の今日の動き』を決めているというか…。」
宮藤「はいはい。」

江原「現場の雰囲気でも、撮影の中でも『今、こんな状況になっちゃったから
明日の俺はこういう風な自分ということでやっていこう』 という脚本を自分で書くんですね。
だから日替わり弁当のように、今日の宮藤さん、明日の宮藤さん、違うと思うんです。
その現場の状況に合わせて。」
国分「どうですか?」
宮藤「ええ…わりとそうですね。」
江原「不思議なもので、自分で型に入れていたりするんですね。
でも、型が大嫌いなんです。 ドラマでも絶対型にはめるのが嫌なんです。
だから時代劇なのに、バイクが出るとか、絶対にあり得ないこととか極めていきたいわけですよ。」
美輪「意外性ね。」
江原「意外性。ちょっとさっきからずーっとお話を伺ってる時に。
ちょっと私、抜けさせて頂いて。
幼い時分からねみてて。
お父さん、厳しかったっておっしゃるけれども、
お父さんの中の厳しさは、やっぱり全て型なんですよね。」
宮藤「はい。」
江原「でいて、『こういった時は、こう返事するもんだ』と。
こういった時に、なぜ、おまえはこれを言えないんだ?

これを、ずっと言われ続けてて。
だけど決してほんとに厳しいお父さんじゃないんですよ。」
宮藤「はい。」
江原「型に対してすごく厳しい人で。
それがちゃんと理解出来てないもんだから。
お父さんとかいう存在があるだけで責められてる気がするんですよ、常に。言われてなくても。」
宮藤「ああ~。」
江原「うん。ただ、切り替えのきっかけの1つというのは。大学に行かれた時でしょうね
自分自身が、『これをやりたい』って いう風に決めた時。
一つの脱却、型からのね。」
宮藤「うん。」
江原「だって空気から言ったらば、
悪いけどもその芸術方面に行くとかって
ちょっと言いにくい所あった、お父さんに。」
宮藤「はいはい。」
江原「要するに、お父さんは、もっと型をすごく大事にするというか
そんな学部行ったら就職どうなんだ?みたいなね。」
宮藤「そう、正にその通り、ああ。」

江原「大学行った、という時点で、まず1回目の脱却。
で、辞めたのがもう第2回目の脱却。
江原「もうどんどん脱いでいったわけですよね、型っていうものを。」
宮藤「そうですね。あの~『服脱いだ』って今おっしゃいましたけど。
何か、そういう感じでしたね。せいせいした、というか。
江原「それで奥さんのね、その言葉がなぜよかったかと 言うとね、型がないからなんですよ。
『じゃあ辞めたらいんじゃない』とか。
常に型のない人なんですよ、奥さんて。
だから、それがあって。じゃあ、そこの大元
どうして、そういう人生になるのかという事へねいくんですけどね。」

江原「実はね、一番象徴的にみえて来るのがヨーロッパでね。
でいてねフランスとか、そっちの方じゃないとか思うんだけども。
貴族なのか、何かちょっと立派なお家なんですよ。
ちょっと田舎なんですね。で田舎の領主みたいな
けど。とにかく、そのご自身が型が、ダメだったんです、その時も。
で、その時に、やっぱり長男で、要するに家を継がなきゃいけない。
それでいて、この一家を背負って行かなくちゃいけない一族ね。
だから、その乗馬の事もそうだし。
剣もそうだし、剣ね剣。剣もそうだし。
あれもこれもって、やるのが大嫌い。」
国分「それ、親がやらせてるんですか?」

美輪「しきたりだから。だって貴族は全部
狐狩りから何からそれももう貴族の資格の一つに入ってるわけ。」
国分「ああ。」 江原「そう。で、『自分は、この家に生まれちゃいけないんだ』っていうとこまで 悔やみまで感じて。
だから自分はダメ。もう最初から投げてるんですよダメって。
投げているんだけど許してくれないんですよ。
『そういう訳にはいかんだろう』と。
要するに立て直してやる、と。おまえの根性を立て直してやる。
だって立て直すも何もダメなものは、ダメなんだ、って言ってるわけなのに。
という事で、結局、全ての魂のテーマ“型”。」

宮藤「うん。」
国分「どうですか?」
宮藤「何かね~型っていう事を、言われて。
すごく今、あ、そうなのか、って思いましたね。」
美輪「ねばならぬ、が大っ嫌い。」
宮藤「そう、そうですね。何か、こう何でだろう?って思っちゃうんですね。
何で、それやっちゃいけないんだろうな?とか。
これ何でですか?とか。ああーそうか、そういう事かって 分かったりとかしても。
何かどっかで納得行かなかったり。
あら、面倒臭い人ですね。」
美輪「ははは。」

江原「いや、そうは思わない。
むしろ分かり易いっちゃ分かり易い人です
そのポイント、型っていうテーマを知れば。
そこの戦いがあったから、ある意味では
表現する事、作るという仕事の上でも花が咲いてると思うし
無駄になってないと思うんですよ。」
宮藤「うん、うん。」

~脚本家にとして成功したのは型を破ろうとしろうとして戦い続けたから。 そんな宮藤さんが一番知りたかった事は…

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