松田美由紀

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【 2008年06月28日放送】【2時間SP】パート2

今日のゲストは、たぐいまれな俳優、故松田優作さんの妻であり、母でもある松田美由紀さん。

パート1からの続きです♪

探偵物語 VOL.2

~1979年に映画「金田一耕助の冒険。」でデビューした美由紀さんは 17歳のときテレビドラマ「探偵物語。」で松田優作さんと共演するのです~

国分「優作さんとの出会いは『探偵物語』なんですか?」
松田「そうです。」
国分「初めて会ったときというのは覚えていますか?」
松田「もう、メッチャメチャ格好良かったですよ。」
国分「会話とかというのは、できたんですか?」

松田「ええ。私、緊張して現場でドタバタしてまして。
そうしたら 『落ち着け』って言って、いきなりハグをしてもらったんですよ。
それでもう、いやらしい感じは全然なくて、すごく温かい包容力で。
それでもう私は ドキーン!みたいな。」
国分「ハートが出るくらいですね、『ドカーン!』と。」
美輪「『ドキューン!』とね。」
松田「それで絶対、“結婚する!”と思ったんですね。」
美輪「その瞬間にね。」
松田「会った時に“結婚する”と思った人は、初めてですね。」
国分「よく言いますけれども、あるんですね、そういうことも。」
美輪「『この人だ!』ってね。
それはやはり、前の世からずっとつながり合いや、 いろいろあるから、そうなるんでしょうね。」

国分「もうそのワードへ行きますか。昔からあるわけですか。」
美輪「そうそう。」
国分「それで何か猛アタックみたいなのはしていくわけですか?」
松田「私はすごくわかりやすいんですよ。
もう見た目通り もう感情が全て字で書いてあるように出ちゃうんですね。
うれしいときは うれしい!ってなっちゃうし。
だからもう、簡単ですよね、わかりやすいので。」
国分「その後は、共演していても、ずっと嬉しい顔になってるわけですよね。」
松田「そう。もう目がずっとこうハート型になっていて、それでもう、 ルンルン見ちゃうのでわかりやすいですよね。」
国分「それで20歳で結婚するわけですよね?そこはどうだったんですか?
まだ女優としての夢みたいなものも、多分あったと思うんですけれども。」
松田「やっぱり仕事は本当はしたかったんですね。でも大変だろうと思いまして。
家庭というのを守る人と、戦いに行く人が、両方戦っていたら、大変だろうなと思って。」

~役になるために体重を10キロも落としたり、歯を何本も抜くなど 徹底して取り組んだ松田優作さんの真の姿とは~

国分「一番近くで役者、松田優作を美由紀さんは見ていたと思うんですけれども。
どうですか、やはり役作りとかというのもすごく細かくやっていた方なんですか?」
松田「そうですね。でも逆に、器用な人は私はあまり信じられないので。
器用でないことの方が私は素晴らしいと思っている。」

国分「松田優作さんはそんなに器用ではない方なんですか?」
松田「器用じゃないですね。」
国分「そうですか。何か全てにおいて完璧にこなせているように、 僕らから見えてしまうんですけれども。
そこにはやはり努力というか。」
松田「はい、そうですね。」

美輪「つまり綿密な計算と努力よね。
だから1つの役を演じるときに、役の人間の、どういう場所で、どういう家庭環境で生まれて、食事の好みから、 持病を持っているか持っていないか、生い立ちから思考、想念、趣味、性癖、全部綿密に計算していくのね。
その中にスポッと入ると、もうその人間がそこにいるから、
演じようという気持ちがいらないわけ。もうその人がそこに存在してるわけだから。
だから松田優作さんでありながら、松田優作さんじゃないわけ。
その人間がそこに存在してるから、その人間が行ったり来たりすることは、
松田さんじゃなくて、別な、作り上げた人間がそこに生きてるわけ。」


~1983年に長男・龍平さん、1985年に次男・翔太さんが誕生。
龍平さんが生まれた1983年、優作さんは映画「家族ゲーム」で主演され、 風変わりな家庭教師役で数々の映画賞を受賞するのです~

国分「結婚されて、すぐお子さんが生まれるんですよね。 松田優作さんというお父さんは、どんなお父さんですか?」
松田「あまりいいお父さんじゃないと思います。」
国分「どういうところがですか?」
美輪「マイホームパパじゃないからね。」
松田「はい。男の人としては、抜群な男の人でしたけれども、父親としてはあまり、 役に立っていただかない。」
江原「ご主人様は、芝居のことしかないでしょう、常に。それは今もそうなんです。
亡くなっても、今でも演劇のことでしかなくて、それが息子さんたちに、 いっぱい影響してるんです。
想念が行っている。」
国分「上手いですものね、お芝居ね、息子さんたち、本当に。」
美輪「“蛙の子は蛙”って感じね。」
国分「それを見てるわけですものね。」
江原「見てるだけじゃなくて、いろんなアドバイスも送ってるんですよ。
だから 誰に習ったの?っていうような演技が出たりとか、そういう表情とか、 そういうものも。
例えば、親子だからとかいうだけじゃなくて、 どうしてこういう成長が急にあるんだろうか?
ご自身の努力もあるでしょうけれども、やはり伝わってくる。
この世にいない先生を持っていらっしゃるから。」
松田「うん、でもそうだと思いますね。」

国分「息子さんのお芝居とかを見ていてあれ、ちょっと似てるな、
と思ったりするシーンは あったりしますか?」
松田「う~ん、ありますけれども。
でも、すごくオリジナルだと思って、 私、あまり主人のこと、言ったことないんですよ、子供たちに。
あまり話さないんですね。
主人は有名ですからいつもいつも、話されるの嫌だろうなと思って。
自分たちから聞いてきた時に、『こんなだったよ』と話はするんですけれど。」
美輪「それは賢明な方法ですよね。」

松田「ええ。やはり個性を大事にして欲しいと思って。」
江原「美輪さんのこととかでもそうですし、
ご主人が役者さんでも非常に尊敬する方の条件というのは、 緻密な設定をきちんとする人なんですって。
要するに、その人格というものは、どういう風な人格なのかっていう、
その人の趣味から好みから。」
美輪「病気からね。」
江原「そういったことまでも全部決めて。
そしてその役に入っていくっていう風にできる人っていうのが条件らしくて。
美輪さんにもそれがあって、それを尊敬するのと共に、息子さんにも自然とそういう風になっていってる、伝わっていってるって言うんです。どうです?」

松田「ねえ、もう、格好いい人が家族にたくさんいてうれしいですね。」
国分「すごいですね。これを言えるというのは、すごいですよ。」
美輪「おもしろいい方ね。」
国分「役者さんとしては、これから本当に楽しみですよね、息子さんたちは。」
松田「うちは、家族なのに、まあ役者集団ですから、すごく本当に、
普通に芝居の話ばっかりしてるんですよね。
『あの映画がおもしろかった。』『この脚本家はどうだった。』っていう話を、 ごはんを食べながら、みんなでいつも…。」
国分「そういう話をするわけですか。」

松田「まあでも、いろんな話をしますね。人間がどう作られるのかとか。」
国分「そんなに難しい話を。」
松田「すごい、難しい話が日常会話なんですよね。
だから 家族以外で、 濃い話がしたい、と言っていましたね。」
国分「家族以外で?」
松田「はい。家族ですごく濃い話をするので、家族以外で、 もっとそういう刺激がある人が欲しいっていう風に言ってました。」
美輪「そう、おっしゃる意味わかりますよ。
最近は、そういう、例えば演劇論や何かを闘わせる人を敬遠して、バカにしたり、 嫌がる風潮が、タレントや俳優さんの中にもいるんですよ。
『演劇論なんかぶっつけやがって、偉そうに。大嫌いだ、そんなの。』ってバカが多いの。
辞めちまえっていうの、そんなの。
他の職業につけばいいんですよ、それだったらね。」

松田「美輪さんの世界の時代というのは、すごく香水の匂いのするような、 時間があったような気がするんですよね。
今の子供たちというのは、すごくそれが リアル、リアル、すごくつまらない。」
美輪「現実。」
松田「うん。それで、もっと若い子たちが、素敵なことを想像するとか、 社会を想像するとか、世界を想像するとか、もっと感じたら、豊かな社会になるのにな っていうのは、すごく感じますね。」
美輪「でも最近、二極化しちゃってね、自分の名前もあまりろくに書けないようなまるバカ組とね、マルチにいろんなものを咀嚼してね、そっちの方で一生懸命やろう としている 素晴らしい若い人たちと、両方出てきてますね。

二極化して、分かれてるんですよ。だから、息子さん方もね、どちらかというとその優秀な方で、そういう方たちが出てきたということは、素晴らしいことですよね、日本のために。」
国分「久しぶりに美輪さんのこの汚い言葉を聞くと、すっきりしますよね。」
美輪「そう?すみません。」

~1989年のハリウッド映画「ブラックレイン。」に出演された優作さんは 「10年に1人の悪役。」と絶賛される一方、罹病していた白血病の治療よりも 撮影を優先させた結果、40歳の若さで逝ってしまわれたのです~

松田「主人が亡くなったときに、一晩一緒に寝たことがあったんですけれど
『いないな』と思ったんですよ。『ここにはいない、この肉体にはいない。』って感じたんです。
『もう、こんなところにいない』とか、すごく上に行っている感じがしたんです。」
国分「横に肉体はあっても、いないなっていう。」
松田「いないっていう。何かそういうのが、家族に関してはすごくよくわかる、
他人のことは、さっぱりわからない。」
美輪「興味がないからでしょ。」
松田「でも、愛だと思うんです。」
美輪「愛ですよ、そう。」

松田「でもね、いま楽になったんですよ、すごく。もう子供たちもみんな大きくなりまして、一番下に娘がいるんですけど、アメリカの大学に行きまして。
いま、すごく楽になって。」
美輪「じゃあ、あなた、看板塗り替えて、またお嫁にいらっしゃれば?」
松田「でも、本当にすごく楽になって、やはり自分が表現することをもう1度、 それをきちんと見つめてみようっていう、そういう時間になってますね。」

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