義家弘介
【 2008年01月26日放送】【115】パート2
今日のゲストは、不良少年から教師に、そして参議院議員として活躍のヤンキー先生こと
義家弘介(よしいえ ひろゆき)さん。
パート1からの続きです♪
[熱血先生誕生]
教師として母校に帰り、体験を生かした教育の体験を描いた著書はベストセラーに。
ヤンキー先生としてマスコミにも登場、ラジオ番組を始められると
全国の子供たちから深刻な悩みが寄せられ、子供たちの抱える問題の大きさを、
教育改革への思いがさらに強まることに。
人に教える立場になって思うようにいかなかったことがあるかを聞かれ、
大体、教育で子供と向き合うことは、9割9分は思うようにいかないもの。
ただ、そこから逃げないことが教育なんじゃないかと思うとのこと。
そうすると、とてつもない、ほんのちょっとの感動が手に入り、
その感動に1回出会ったら、実はやめられない仕事なのだそうです。
1年目からそういう感動は味わえたのかを聞かれ、
うまくいかないことばかりで、真剣に向き合おうとすればするほど、
独りよがりだったりしたそうです。
江原「そんなに大変なのに先生がなぜ続けられるか。
そこに自分がいるからですよ。その1人1人が自分なんですよ。
自分の持っている一部分であり、だから放っておけない。 一体なんですよ。」
国分「あんなに熱い先生いないですよね。」
義家「自分が学校にいて、自分みたいな奴がいたら嫌ですね。」
国分「でもその分、生徒は向き合おうとするんじゃないですかね
高校生って僕もそうでしたけれども、やはり1番難しい時期じゃないですか、
男にしてみても。
本音は話したくないし。
でも、先生によっては、聞いてくれようとする先生も中にはいたりとかして
そういう人が救いだったりしたんですよね。」
[「うざい。」は、ほめ言葉。」]
義家「まあ、そう言う奴もいるし『うざかった』って奴も。
しみじみと言う人もいますけどね。『うざい』っていうのはほめ言葉ですよね。
だって『大人は何もしてくれない』ってあいつらは言っているわけですから
『俺はしようとしているから、お前らうざいんだろう?
つまり、君の求めている教師像がここにいたね。』
なんて、開き直ったりしてましたけどね。
国分「そういう風にいわれることはありましたか。」
義家「今でも、しょっちゅうですよ。『近寄るな』とか『うざい』とか。」
国分「そういう場合はどうするんですか?」
義家「『ありがとう』。」
国分「『ありがとう』ですか?」
義家「ほめてくれて、ありがとう。」
「蛇の道はヘビ。」と美輪さん。
説教したり話しているうちに、そこに昔の自分がいるから、手に取るように気持ちが分かる、
実際に通ってきた道だから言って欲しい言葉を選べるのだそうです。
今の時代に最も必要なのは「それ。」と江原さん。
今の世の中は、みんな他人事だから放っておく、 だから相手を自分という風にとらえることが できなくなっているのではないかとのこと。
[想像力が足りない]
美輪「事件が起きると『思いやりを持ちましょう』と校長先生はみんなそうけど、
じゃあ、その思いやりはどうやって持ったらいいんですか?と聞くと答えられない。
思いやりは想像力ですよ。
じゃあ、想像力を養うにはどうしたらいいんですか?
詩や俳句や和歌や、短い言葉で多くのことを想像してそれをいかに短い言葉で表現するか。
その練習が足りないだけ。」
義家「今も大学で教えていますけれども、やはり『想像力、大丈夫かな?』
と 思うことってよくあるんですよ。
想像力が育っていないのに情報のシャワーが押し寄せてくる時代になってしまった。
昔、暴走族がケンカのときに、バットに釘を刺してってよく描写されますよね。
事実、そういう奴がいたんですよ。
でも、それで人を殴った奴はみたことない。
要するに『こんなので殴ったら、相手が死んでしまう』とわかっているから
威嚇のために存在しているだけ。
でも今は、本当に殴っちゃう。
非常に危険な時代だからこそ、しっかりと痛みを伝えてあげる教育というのも
今していかなければいけないだろうなって思います
江原「転ばさない、これもいけない。今は何でもお膳立てしちゃうんですよ。
例えば子供が『のどが渇いてお水が欲しい』って言う前に、お水を出してしまうんですよ。
なぜかというと、親はそれが楽なんですよ。
子供あとの片付けも、言葉ばかり言うでしょう。『まだ、片付けていない』って。
一緒に片付ければいいんです。
それを横着して『もうしょうがない』と、子供がいないときに片付けてしまう。
結局、これは大変そうに見えて横着なんです。
子供を育てていない、全然、育んでいない。
何でもそうやってお膳立てしていたら、子供は全く想像力を持つための材料を
持つことができなくなってしまう。」
[いじめについて]
国分「義家さんは、いじめの原因というのはどういうところにあると思いますか?」
義家「いじめのケースによっていろいろなことがあるんですけれど、
やはり一つには 『自分かわいさ』ですね。
『いじめられないためには、いじめる側に回らなきゃいけない』ってね。
そういう意識の中でいじめが広がるんですよね。
だからまず、1人1人が認められること。
しっかりと『自分はいていいんだ』
これは自分が子供の頃に認めて欲しかったから、
余計に思うのかもしれないですね。」
江原「『いじめは犯罪』だということ。いじめという言葉でごまかされて
何か軽いような感じになってしまいますが『いじめは犯罪』。」
美輪「それと『恥と誇り』を教えることよね。
いじめる人間は『自分は劣等感を持っています』 『頭が悪いんです』
『心が悪いんです』ということを 触れ回っているようなものだよ。
みんなは暴力を怖がっているだけで、あんたを怖がっているわけじゃないんだよ
という風に、恥と誇りを詳らかにしていくと
『じゃあ、恐れられているのは尊敬されているのかと思っていたら
実は馬鹿にされて嫌われていたんだ』ということがわかるのよ。 そうすると徐々に止めるのよ。
わたしも悪い仲間の中にもいたことがあるし だからそれがよくわかるの。」
国分「実際、今いじめというのは増えていってるんですか?」
義家「そうですね、より陰湿になっているんですよね。
ネットの世界にそれが行ってしまったり、より陰湿で分かりづらくなっている。
だからその対応の一方で、今いっていた本質論や精神論をしっかり叩き込むことが大事です。
美輪さんがおっしゃった“恥”、これは異常に反応するんですよ。
プライドが高い彼らですから『本当に恥ずかしい奴だな』なんていうと本気になって
反抗してくるんですよね。
それはもう完全に響いている証拠なんです。
よく『恥の文化が日本だ』と言うけれども、それは今でも生きているような気がするんですよね。
だから一生懸命、着飾るんでしょうけれどね、恥という意識があるから。
そこはチャンス、突破口のひとつのような気がしますね。」
美輪「だから不良の子を更生させるのに、上から物を言ったり 自分がいい人で
物を言ったらダメなの。もっとワルじゃなきゃダメ。
『そんなことで何がおもしろいんだい?あたしなんかこうやったんだ、
それに比べればお前なんか遊びみたいなもんだ』って言ってやるのね。
そうするとびっくりするの。
『え?上手がいたのか』 そうやってパーンとやっておいて、それからなでてあげるとか。
いろいろね。」
義家「自分を救ってくれたのは、優しくて何でも 『いいよ、いいよ』って言ってくれる人間ではなかったし
本当に真剣な熱そのものだったような気がするんですよね。
この身をもって感謝しているからこそ、伝えたいという思いは強いですよね。」
~子ども達を救いたい。熱い思いで政治家への道を志した義家さん。
そこには、思いもよらない世界が待ち受けていました
子ども達を守る為に。教育の現場から政治の世界に踏み込んだ義家さん。
初めて知った選挙の現実。厳しい批判や誹謗中傷にもあいました。
理想だけで突き進む事は許されない政治の世界が待ち受けていたのです~
[義家さんが見た国会]
子供達を守るために教育の現場から政治の世界に踏み込んだとき
激しい批判や中傷も受けたそうです。 義家さんは本会議場に初めて行った時は、
学級崩壊していると思ったそうです。
野次があったり、携帯の着信音が鳴ったり、立ち上がる人もいたとか。
あれは烏合の衆で、みっともない。先進国のやることじゃないと、美輪さん。
こんなに政治家が尊敬されない国はない、と義家さん。
義家さんによると選挙は命がけだったそうです。
街頭で顔につばをかけられたり、こともあるし、『税金ドロボー!』みたいなことを言われたり。
パッと唾をかけられた時に、カッとなるよりも、何が起こったのか分からなかったそうです。
今までは、生徒と先生という関係だったから 何が起こっても不思議じゃなかったけれど、
他人にやられたことにびっくりしたとのこと。
そういう思いまでして、義家さんが政治家になりたかったのには目的があるそうです。
[子どもの声が聞こえない]
今はゆとり教育の指導要領の改定作業が大詰めを迎えているのだけど、
問題なのは、霞ヶ関・永田町に子どもたちの声がまったく聞こえないことだそうです。
聞こえてくるのは、文部科学省から来る数字だけ。
実際に目の前にいる子どもたちの声を届けたいという思いがあったそうです。
美輪さんいわく「井の中の蛙だから彼らには情報が入って来ないの。
江戸時代のままストップしている異次元にいるの。
みんなベルトコンベアで、小学校、中学校、大学と来ている
天国しか知らない坊っちゃん代議士は、地獄を知らないんですよ。
地獄を知らない人に地獄にいる人を救うことはできないでしょう。
だから、義家さんのような人ばかりが代議士になれば、本当に世の中は良くなりますよ。」
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